新型コロナウイルスの影響で様々な助成金が出ているのは周知の通りですが、お金をもらうと減価償却が少なくなり、かえって利益が出てしまうといった問題があります。そのような問題を解決するため、今回は「圧縮記帳」について解説します。
圧縮記帳とは
圧縮記帳は、法人税法・租税特別措置法に規定されています。有形固定資産の取得で収益(補助金等)が発生した際、取得価額を減額、つまり「圧縮」することにより「圧縮損」を計上し、収益額と圧縮損を相殺して税負担を軽減させることができます。
補助金に税金がかかってしまうと、その効果が薄れてしまう可能性があります。圧縮記帳を認めることによって、課税される税金を繰り延べてもらい、補助金の効果を十分に発揮してもらおうというわけです。
圧縮損を計上すると、その年の税負担は少なくなりますが、有形固定資産・減価償却費が少なくなるので、その後の各年度の負担は増加します。
経理の仕方
圧縮記帳には、直接減額方式と積立金方式があります。取得原価主義の観点から、会計上は積立金方式による会計処理が望ましいとされています。
圧縮記帳を適用する場合、税法の規定を適用して行う会計処理が前提になります。また、交換・収用については、譲渡する資産と同一の種類・用途の固定資産を取得することが前提になります。
直接減額方式は、固定資産の取得原価を直接減額するものです。特別損失の「固定資産圧縮損」を使い、固定資産の簿価を受けた補助金分だけ減額します。直接減額方式はさらに2つに分けられ、固定資産の簿価を減額する直接減額法と「固定資産圧縮額」を使う間接減額法があります。
積立金方式は、固定資産の取得原価を減額せず、限度額の範囲内で「圧縮積立金」を積み立てます。積立金は固定資産の取得時ではなく、決算時に積立を行います。この方式の場合、対象資産の会計上の帳簿価額と税務上の帳簿価額に差異が生じるため、将来的に加算一時差異が生じ、繰延税金負債が生じることになります。
減価償却資産の圧縮記帳が積立金方式で処理された場合は、減価償却費の計上を通じて繰延税金負債と圧縮積立金が取り崩されます。