年末調整の概要
時期
原則として、その年の最後の給与を支払うときに、「その年中に支払うべきことが確定した給与」を対象に行う。
対象となる人、ならない人
対象となる人
- その年の最後の給与を支払うときまで在職している人
- その年の中途で死亡により退職した人
- その年の中途で海外支店等に勤務したことにより、日本に住所を有しなくなった人
- その年の中途で著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみてその年のうちに再就職することが明らかに不可能と認められ、かつ、その退職後に給与などの支払いを受けない人。
- その年の中途で退職したパートタイマーのうち、その年中の給与の収入金額が103万円以下であり、かつ、退職後その年中に他の勤務先から給与の支払いを受けていない人
対象とならない人
- 本年度最後の給与を支給するまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
- 本人中に支払うべきことが確定した給与の金額が2000万円を超える人
- 災害被害者で源泉所得税の徴収猶予または還付を受けた人
- 本年の中途で退職した人に対する給与
- 国内に住所または1年以上の居住を所有しない人
年末調整の準備
以下の書類を社員に提出してもらう。
書類 | 説明 |
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---|---|---|
1 | 扶養控除等異動申告書 | 配偶者控除、扶養控除、障害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除を受けるために必要。便宜上年末調整のときに来年の申告書を提出してもらい、その時点での最新情報を入手する。税務署からもらい社員に渡し回収する。 |
2 | 配偶者特別控除申告書 | 二つの申告書で用紙を兼用している。配偶者特別控除、生命保険料控除、損害保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金の控除を受けるために必要。税務署からもらい社員に渡し回収する。 |
3 | 保険料控除申告書 | |
4 | 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅借入金等特別控除を受ける場合、税務署発行の「年末調整のための住宅借入金(取得)等特別控除証明書」と、金融機関発行の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を添付して提出してもらう。控除の初年度は確定申告によって適用されるが、次年度から年末調整で控除される。用紙は希望すれば税務署から社員本人に郵送される。 |
5 | 前職の源泉徴収票 | 中途入社の社員の場合には必要 |
年税額の計算方法
上記の資料に基づいて、所得税源泉徴収簿の右側の年末調整欄の金額欄に該当する金額を記入していき、所得税額を計算する。
計算例→源泉徴収簿の例(PDF)
過納額及び不足額の精算
年税額の計算が出来たら、毎月の給与や賞与からの源泉徴収額の合計額とを比べて過不足額を計算し、その清算をする。源泉徴収額の合計額が年税額よりも多いときは、その差額分だけ納めすぎになっているので、還付することになる。源泉徴収額の合計額が年税額よりも少ないときは、その差額分だけ納め足りないことになっているので、徴収することになる。
過納額の精算方法
通常は12月分として納付する源泉徴収額のうちから差し引き、過納となった人に還付する。12月だけで還付しきれない場合は、その後に納付する源泉徴収額から差し引き順次還付する。
不足額の精算方法
通常は12月分の給与から徴収し、なお不足額が残るときにはその後に支払う給与から順次徴収する。不足額を徴収するとそのつきの税引き手取り給与額が、1月から年末調整を行った月の前月までの平均手取り給与の70%未満となるような人については、税務署に申請して承認を受ければ、不足額を1月2月に繰り延べて徴収することができる。
納付
その月の通常の源泉徴収額とともに、徴収高計算書を添えて納付する。その際、徴収高計算書の「年末調整による超過税額」欄に記入する。
作成書類
書類 | 提出先 |
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1 | 年末調整通知書 | 社員 |
2 | 給与明細書(給与または賞与の支給に含める場合) | 社員 |
3 | 源泉徴収票 | 社員・所轄の税務署 |
4 | 給与支払報告書 | 住民税納付先の市町村 |
5 | 給与支払報告書/総括表 | 住民税納付先の市町村 |