税金滞納倒産が増えているという現実
―零細企業の社長が今、最優先で考えるべきリスク―
最近、企業倒産のニュースを見ていると、以前よりも気になる言葉が増えてきました。
それが 「税金滞納倒産」 です。
倒産と聞くと、多くの方は
「売上が落ちたから」
「赤字が続いたから」
というイメージを持たれると思います。
ところが、最近増えている税金滞納倒産は、
業績悪化だけでは説明できないケースが目立ちます。
実態は、「資金繰り」と「税金の扱い方」が経営を直撃しているのです。
税金滞納倒産の実態を数字で見る
まずは、最近の税金滞納倒産の特徴を整理してみましょう。
税金滞納倒産の主な特徴(概要)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生件数 | 年間150件前後で高止まり |
| 企業規模 | 資本金1,000万円未満が約6割 |
| 多い業種 | 建設業、サービス業、小売業 |
| 主な原因 | 資金繰り悪化+税金・社会保険料滞納 |
| 特徴 | 黒字でも倒産するケースあり |
特に注目すべきなのは、
小さな会社ほど影響を受けやすいという点です。
「うちは零細だから仕方ない」ではなく、
零細だからこそ、税金が致命傷になりやすいのが現実です。
なぜ「税金」が倒産の引き金になるのか
社長さんとお話ししていると、こんな声をよく聞きます。
「税金は少し遅れても大丈夫」
「取引先よりは後回しにしている」
この感覚が、実は非常に危険です。
税金と一般的な支払いの違い
| 比較項目 | 仕入先・取引先 | 税金・社会保険料 |
|---|---|---|
| 交渉 | 支払猶予・分割が可能 | 原則不可 |
| 滞納時の対応 | 催促・交渉 | 差押え・強制徴収 |
| 影響 | 関係悪化 | 事業継続そのものに影響 |
| 実行スピード | 比較的緩やか | ある日突然 |
税金は、
「最後に払えばいい支払い」ではなく、
「最優先で管理すべき支払い」 です。
コロナ禍の「猶予終了」が経営を圧迫
もう一つ、税金滞納倒産が増えている背景があります。
それが、コロナ禍の特例措置の終了です。
コロナ前後の環境変化
| 項目 | コロナ禍 | 現在 |
|---|---|---|
| 税金・保険料 | 猶予あり | 通常納付 |
| 売上 | 補助金で下支え | 回復途上 |
| コスト | 比較的安定 | 物価・人件費上昇 |
| 資金繰り | 何とか回る | 余裕がない |
「売上は完全に戻っていないのに、
支払いだけが元通りになった」
この状態が、税金滞納を引き起こしています。
税金滞納倒産の一番怖いところ
税金滞納倒産の最大の特徴は、
突然、資金が止まることです。
-
預金口座の差押え
-
売掛金への差押通知
-
金融機関の信用低下
これが一気に起きると、
黒字であっても事業は継続できません。
実際に、
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| 決算 | 黒字 |
| 売上 | 継続中 |
| 倒産理由 | 税金・社会保険料の差押え |
というケースも珍しくありません。
社長が今すぐ意識すべき3つのポイント
ここで大切なのは、恐れることではなく 備えること です。
① 税金は「会社のお金」ではない
特に注意が必要なのは、
-
消費税
-
源泉所得税
これらは 預り金 です。
| 税目 | 性質 | 注意点 |
|---|---|---|
| 消費税 | 預り金 | 使うと後で必ず苦しくなる |
| 源泉税 | 預り金 | 滞納すると指摘が早い |
| 法人税 | 経費扱い不可 | 事前準備が必須 |
口座を分ける、残高を常に把握するなど、
仕組みで管理することが重要です。
② 納められないときは黙らない
税金は、
早く相談すれば道があります。
| 対応 | 結果 |
|---|---|
| 早めに相談 | 分割・猶予の可能性あり |
| 放置 | 差押えリスクが急上昇 |
「まだ何とかなる」が、一番危険です。
③ 決算書より資金繰りを見る
黒字=安心、ではありません。
| 見るべき指標 | 理由 |
|---|---|
| 現預金残高 | 即支払いに影響 |
| 月次資金繰り | 税金支払の余力確認 |
| 数か月先の見通し | 早期対応が可能 |
会社は、利益ではなく現金で倒れます。
まとめ:税金滞納倒産は「防げる倒産」
税金滞納倒産は、
だらしなさの結果ではありません。
-
環境変化
-
資金繰りの悪化
-
税金への認識不足
これらが重なった結果です。
逆に言えば、
早めに気づき、早めに動けば防げる倒産でもあります。
「まだ大丈夫」と思える今こそ、
税金と資金繰りの関係を一度、整理してみてください。
それが、会社を長く続けるための
確実な一歩になります。