配当金を受け取ったとき、毎年悩むのが
「総合課税」と「申告分離課税」どちらを選ぶべきか」 という点です。
特に株式投資をされている方や法人オーナーの方は、
税率の差が数十万円単位で変わることもあります。
今回は、仕組み・計算構造・年収別の有利不利まで整理します。
1.まず制度の整理
■ 総合課税とは
給与や事業所得などと合算して課税される方法です。
特徴
-
所得が高いほど税率が上がる(累進課税)
-
配当控除が使える(国内株式のみ)
■ 申告分離課税とは
配当だけを独立して課税する方法です。
特徴
-
所得税15%+住民税5%(復興税除く)
-
配当控除は使えない
-
上場株式の譲渡損と損益通算できる
2.税率の比較
▼ 基本税率の違い
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 総合課税 | 5〜45%(累進) | 約10% | 所得により変動 |
| 申告分離課税 | 15% | 5% | 約20% |
※復興特別所得税は省略
3.配当控除の効果(総合課税のメリット)
国内上場株式の場合、総合課税を選択すると配当控除が使えます。
▼ 配当控除率
| 課税所得 | 所得税控除率 |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% |
| 1,000万円超 | 5% |
つまり、
-
税率が20%以下の人
→ 配当控除を使うと実効税率が下がる可能性あり -
税率が30%以上の人
→ 総合課税は不利になりやすい
4.年収別シミュレーション
配当100万円の場合のイメージ比較です。
▼ 課税所得400万円の人
| 総合課税 | 分離課税 | |
|---|---|---|
| 所得税率 | 約20% | 15% |
| 配当控除 | ▲10万円 | なし |
| 実効税負担 | 約10万円前後 | 約20万円 |
👉 総合課税が有利
▼ 課税所得900万円の人
| 総合課税 | 分離課税 | |
|---|---|---|
| 所得税率 | 33% | 15% |
| 配当控除 | ▲5万円 | なし |
| 実効税負担 | 約28万円 | 約20万円 |
👉 分離課税が有利
5.判断の目安
■ 総合課税が向いている人
-
課税所得が695万円以下
-
配当額が多くない
-
国内株式中心
-
住民税も総合でOKな人
■ 申告分離課税が向いている人
-
課税所得900万円超
-
法人オーナーで高所得
-
上場株式の譲渡損がある
-
税率が33%以上
6.実務で注意すべき点
① 住民税の選択
所得税は総合、住民税は分離という選択も可能です。
国保保険料への影響も考慮が必要です。
② 外国株式は配当控除なし
米国株などは総合課税にしても配当控除が使えません。
③ 高所得者はほぼ分離有利
課税所得1,000万円超の方は、原則として分離課税が合理的です。
7.まとめ
| 所得水準 | 有利になりやすい方法 |
|---|---|
| 〜700万円 | 総合課税 |
| 700〜900万円 | ケースバイケース |
| 900万円超 | 分離課税 |
最後に
配当課税は、
-
所得税率
-
住民税
-
国保
-
損益通算
-
外国税額控除
まで含めて総合判断が必要です。
毎年同じ選択をするのではなく、
その年の所得状況で選び直すことが最も合理的です。