【2026年10月】インボイス制度の特例が大きく変わる!今すぐ確認すべきポイント

更新日:2026年3月22日


はじめに:「もう対応済み」と思っていませんか?

2023年10月にスタートしたインボイス制度。登録番号を取得して、請求書のフォーマットを変えて、「もう対応は終わった」と思っていませんか?

実は、インボイス制度はまだ変化の途中です。2026年10月から、事業者の負担に直結する特例措置が大きく変わります。

「まだ半年以上先の話」と感じるかもしれませんが、取引先との交渉や会計処理の見直しには時間がかかります。今のうちに変更内容を把握し、早めに準備を進めましょう。

この記事では、フリーランス・個人事業主・中小企業の経営者の方に向けて、2026年10月以降の変更点とやるべき対応をわかりやすく解説します。


2026年10月からの最大の変化:免税事業者からの仕入税額控除が縮小

インボイス制度の導入時、免税事業者との取引が多い事業者の負担を軽減するために「経過措置」が設けられました。これにより、インボイスのない免税事業者からの仕入れでも、一定割合の消費税を控除できる仕組みになっていました。

この経過措置が、2026年10月から段階的に縮小されます。

免税事業者からの仕入税額控除の控除割合

期間 控除割合
2023年10月〜2026年9月 80%
2026年10月〜2028年9月 70%(←ここから変わる)
2028年10月〜2030年9月 50%
2030年10月〜2031年9月 30%
2031年10月以降 0%(控除不可)

※令和8年度税制改正により、当初予定の「2026年10月から50%」という引き下げ幅が70%に緩和されました。ただし、最終的に2031年10月から控除が完全に廃止される点は変わりません。

具体的な影響イメージ

たとえば、免税事業者への外注費が年間110万円(うち消費税10万円)かかっている課税事業者の場合、

  • 2026年9月まで:10万円×80%=8万円を控除可能
  • 2026年10月から:10万円×70%=7万円しか控除できない(実質1万円の負担増)
  • 2031年10月以降:控除ゼロ=10万円の負担増

取引先に免税事業者が多い事業者ほど、将来的な税負担が大きくなります。今のうちに試算しておくことが重要です。


2割特例の終了と「3割特例」への移行

2割特例とは

インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者に転換した方向けに設けられた優遇措置です。本来の消費税計算をせずに、売上にかかる消費税額の2割だけを納めればよいという制度です。

この2割特例は、2026年9月30日をもって終了します。

新たに始まる「3割特例」

2割特例の終了に伴い、個人事業主に限り、売上税額の3割を納税額とする「3割特例」が2年間(2027〜2028年)の経過措置として新設される予定です。

  2割特例 3割特例
対象者 新規インボイス登録事業者 個人事業主のみ(法人は対象外)
期間 2023年10月〜2026年9月 2027年〜2028年(2年間)
納税額 売上税額の20% 売上税額の30%
事前届出 不要 不要(確定申告書への付記のみ)

法人は3割特例の対象外となるため、2026年10月以降は本則課税または簡易課税へ移行する必要があります。

簡易課税への移行も検討を

2割特例を使ってきた事業者が3割特例を選ばない場合、または3割特例期間が終わった後は、簡易課税制度への移行が選択肢になります。

令和8年度税制改正により、2割特例の適用を受けた事業者が簡易課税を選択する場合の届出期限が緩和されることになりました。通常より遅いタイミングでの選択が可能になる予定ですので、税理士に相談しながら判断しましょう。


事業者別:今やるべき具体的な対応

①免税事業者のまま継続している方

2026年10月以降、あなたに仕事を発注している取引先(課税事業者)の税負担が増えます。これにより、値下げ要請や取引終了のリスクが高まる可能性があります。

今のうちにやること:

  • 取引先の事業規模や業種を確認し、インボイス登録を求められる可能性を把握する
  • 売上規模・取引先との関係性を踏まえ、登録するかどうかを改めて検討する
  • 個人顧客が中心の場合は、登録不要なケースも多い

②2割特例を使ってきた個人事業主の方

2026年9月末で2割特例が終了します。その後どの課税方式を選ぶか、早めに検討が必要です。

今のうちにやること:

  • 業種に応じた「みなし仕入率」を確認し、簡易課税が有利かどうかをシミュレーション
  • 3割特例(個人事業主のみ)の活用を検討
  • 会計ソフトの設定変更や帳簿の見直し

③課税事業者・法人(仕入先に免税事業者がいる場合)

2026年10月から控除割合が80%→70%に下がります。免税事業者への外注が多い場合、コスト増の影響が無視できません。

今のうちにやること:

  • 免税事業者との取引金額を洗い出し、2026年10月以降のコスト増を試算
  • 取引先にインボイス登録を促すか、取引条件の見直しを検討
  • 公正取引委員会のガイドラインに沿った、適切な交渉を進める

よくある質問Q&A

Q:免税事業者は必ずインボイスに登録しないといけませんか?

登録は任意です。ただし、取引先が課税事業者で仕入税額控除を重視している場合、登録しないことで取引に影響が出る可能性があります。取引先の構成と自身の売上規模をもとに判断しましょう。


Q:2割特例が終わったら、納税額はどれくらい増えますか?

業種や経費の割合によって異なります。たとえば、経費が少ない業種(デザイナー、ライターなど)では本則課税より簡易課税の方が有利なケースが多いです。まずはシミュレーションを行うことをおすすめします。


Q:取引先が免税事業者ばかりですが、どうすればいいですか?

段階的に控除割合が下がっていくため、長期的には仕入コストが実質的に増えます。一気に取引先を変える必要はありませんが、今後の取引方針について早めに整理しておくことが大切です。


Q:インボイス制度が廃止される可能性はありますか?

現時点では廃止の予定はありません。一部の地方議会で見直しを求める意見書が提出されていますが、令和8年度税制改正でも制度の存続が前提で経過措置の緩和が図られています。廃止より、緩和・延長の方向で動いていると見るのが現実的です。


まとめ

インボイス制度の「経過措置」は、2026年10月を境に大きく変わります。

  • 免税事業者からの仕入税額控除が**80%→70%**に縮小
  • 2割特例が2026年9月末で終了
  • 個人事業主向けに3割特例が2年間新設予定
  • 控除は最終的に2031年10月から完全廃止

「まだ時間がある」と感じるかもしれませんが、取引先との交渉や経理フローの見直しには想像以上に時間がかかります。今が準備のベストタイミングです。

ご自身の状況がどうなるか気になる方、具体的な対応策を相談したい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。


※本記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。税制は随時改正されますので、最新情報は国税庁のウェブサイトもあわせてご確認ください。

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