今回は、令和3年度税制改正に盛り込まれている「中小企業のM&Aに係る税制措置(経営資源集約化税制)」について解説します。
概要
この政策は、中小企業の集約化を推し進め、生産性などの向上を目指している経営力向上計画の認定を受けた
中小企業が、計画に基づいてM&Aを行った場合に活用することができます。
活用できる措置は「設備投資減税」「雇用確保を促す税制」「準備金の積立」の3種類になります。
設備投資減税
一定の設備を取得した場合、投資額の10%(資本金3000万円超の中小企業は7%)を税額控除、または全額即時償却されます。
雇用確保を促す税制
経営力向上計画の認定を受け、経営力向上報告書を提出した上で、給与等支給総額を対前年比で2.5%以上引き上げると、 給与等総額の増加額の25%が税額控除されます。
準備金の積立
経営力向上計画の認定を受けた上で、計画に沿ってM&Aを実施した際に、実施後に発生し得るリスクに備える目的で、投資額の70%以下の金額を準備金として積み立てることが可能(積み立てた金額は損金算入)。
政府が中小企業の集約を図っているのが見て取れる政策ですが、対象となるのは、中小企業等経営強化法の改正法の施行日から、令和6年3月31日までの間に経営力向上計画の認定を受けた企業となります。よって、既に株式の取得が完了している取引は対象外となるのに注意しましょう。