源泉徴収票のよみかた

サラリーマン(給与所得者)の税金を考えるときに、まず最初に源泉徴収制度を理解しなければなりません。年が明けると、会社から源泉徴収票という小さい紙をもらうと思いますが、あれです。
源泉徴収制度とは、もともと給与所得者のように文句を言わずに黙ってもくもくと税金を納めてくれる国民から所得の源泉元で、確実にもれなく取り立てるために作られたわけではなく、ただでさえ忙しい給与所得者には、申告や納税を簡便にしてあげようという政策的配慮から作られました。

本来、サラリーマンといえども、日本国民は納税の義務が憲法上定められ、さらに「申告納税制度」を前提としています。つまり自分で納税額を計算して確定させるというのが原則です。しかし、大多数のサラリーマン(給与所得者)は、会社から得られる給与以外に所得がないことが多く、会社で年末調整をすることで納税額を確定させ、サラリーマン自ら確定申告をする手間を省くことができるという制度です。しかし、確定申告ではできない「医療費控除」や「住宅ローン控除」の初回については、自分で確定申告する必要があります。これについては、確定申告のコーナーを参考にしてください。

初心者のための源泉徴収票のみかた

源泉徴収票を手元に置いてください。また、その年一年間の給与明細書を並べるとよく分かります。
ついでに、電卓を用意して・・・源泉徴収票の中身をのぞき込むと・・・。

前提資料

山田家を前提にして、源泉徴収票をみてみます。

源泉徴収票

種別支払金額所得税控除後の金額所得控除の額の合計額 源泉徴収税額
給料・賞与6,600,000円4,740,000円 3,691,000円83,000円

家族構成

続柄氏名年齢住所備考
本人山田太郎45埼玉県春日部市本町1-1会社員
山田花子43埼玉県春日部市本町1-1専業主婦
長男山田一郎18埼玉県春日部市本町1-1高校生
次男山田次郎12埼玉県春日部市本町1-1小学生
三男山田三郎1埼玉県春日部市本町1-1ベイビー
父親山田五右衛門75埼玉県春日部市本町1-1おじいちゃん

支払金額

会社から給与として支払われた、税込みの収入金額の合計額です。給与明細書の1月から12月までの合計金額になっているはずです。6,600,000円の収入を前提とします。

給与所得金額控除後の金額

給与所得控除額とは、サラリーマンに概算の必要経費を税金計算上控除することを認めているものです。給与所得の金額に応じて次の速算表を使って求めます。

給与所得の金額給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%(最低650,000円)
1,800,000円超~3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超~6,600,000円以下収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超~10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超~収入金額×5%+1,700,000円

6,600,000×20%+540,000円=1,860,000円

山田太郎さんは、サラリーマンとして1,860,000円を必要経費(税法上は概算経費と呼びます)として、給与の支払金額から差し引くことができます。

6,000,000円-1,860,000円=4,740,000円・・・給与所得控除後の金額

所得控除の額の合計額

扶養家族がいたり、年金や健康保険料を支払ったりしている場合は、税金の計算上所得金額から控除することができます。制度として控除できるものは、下記の15種類あります。下記のうち、雑損控除・医療費控除・寄付金控除については年末調整では適用が受けられないため確定申告をする必要があります。この三つ以外のものについては、年末調整で計算され源泉徴収票に反映されています。

控除名称

控除できる事由

区分

1.雑損控除火事で自宅が焼けたため家事上の支出や損失
2.医療費控除年間で10万円を超える医療費の支払いがあったため
3.社会保険料控除国民年金や健康保険を支払ったため
4.小規模共済等掛金控除共済金の掛金を支払ったため
5.生命保険料控除一定の生命保険料を支払ったため
6.損害保険料控除一定の損害保険料を支払ったため
7.寄付金控除特定の寄付をした場合
8.老年者控除本人の年齢が65歳以上で、合計所得が1千万円以下の場合個人的な扶養等の事情
9.寡婦(寡夫)控除配偶者と死別したり、離婚をし、一定の事由が満たされた場合
10.勤労学生控除本人が一定の学校に通う学生である場合
11.障害者控除本人または扶養家族が障害者である場合
12.配偶者控除一定の要件を満たす配偶者がいる場合
13.配偶者特別控除一定の要件を満たす配偶者がいる場合
14.扶養控除一定の要件を満たす扶養家族がいる場合
15.基礎控除本人分の控除(38万円)

山田家の場合

家事上の支出や損失に関する控除明細

控除名称

控除金額

備考

1.雑損控除

年末調整では調整できないため、源泉徴収票には反映されていません
2.医療費控除

年末調整では調整できないため、源泉徴収票には反映されていません
3.社会保険料控除520,000円
4.小規模共済等掛金控除0円
5.生命保険料控除46,000円
6.損害保険料控除15,000円
7.寄付金控除

年末調整では調整できないため、源泉徴収票には反映されていません
合計581,000円
個人的な扶養等の事情に関する明細

扶養関連控除

控除内容

控除金額

本人基礎控除(380,000円)380,000円
配偶者配偶者控除(380,000円)+配偶者特別控除(380,000円)760,000円
長男特定扶養親族(630,000円)・・・年齢16歳以上23歳未満630,000円
次男扶養控除(380,000円)380,000円
三男扶養控除(380,000円)380,000円
本人の父同居老親580,000円
合計3,110,000円
所得控除の額の合計額

581,000円+3,110,000円=3,691,000円

課税される所得金額

4,740,000円(給与所得控除後の金額)-3,691,000円(所得控除の額の合計額)=831,861円(千円未満切り捨て)
→課税される所得金額=831,000円

源泉所得税

下記の速算表に当てはめると

課税所得金額

税率

控除額

3,300,000円以下

10%

3,300,000円超~9,000,000円以下

20%

330,000円
9,000,000円超~18,000,000円以下

30%

1,230,000円
18,000,000円超

37%

2,490,000円

この速算表に当てはめると、3,300,000円以下に相当しますので・・・
831,000×10%=83,000円・・・源泉徴収税額

細かい説明は大胆に割愛しましたが、源泉徴収票上の数字の作られ方はこのようになっています。

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