2016年から2019年にかけて、日本の最低賃金の全国加重平均額は、4年連続で3%台(25円~27円)の大幅な引上げが行われました。
これを踏まえ、日本商工会議所ならびに東京商工会議所は、最低賃金の引き上げが中小企業にどの程度影響を与えているか標記調査を実施しました。調査対象は中小企業6,007社で、50%にあたる3,001社から回答を得ています。2021年4月5日に調査結果が報告されました。
概要
現在の最低賃金額の負担感について聞いたところ、「負担になっている」(「大いに負担になっている」、「多少負担になっている」の合計)と回答した企業の割合は、全体の過半数に達しました。特に、コロナ禍の影響を大きく受けている宿泊・飲食業の間では、「負担になっている」と回答した企業の割合は8割に達しています。
また、経営への影響について、「影響があった」(「大いに影響があった」、「多少は影響があった」の合計)と回答した企業の割合は、全体の4割に達しました。
「影響がある」と回答した企業に対して対応策は、「設備投資の抑制等」が最も多く、次いで「一時金を削減する」「非正規社員の採用を抑制する」が多くなっています。この調査結果を受けて、日本商工会議所は「最低賃金の大幅な引上げは、設備投資による生産性向上の阻害要因になることに加え、賃金増に必ずしも直結しないことや採用の抑制につながることがうかがえる」と分析しています。
なお、賃金引き上げに直結する政策として、先日可決・成立した令和3年度税制改正に賃上げ税制の見直しが盛り込まれています。