以下に、法人税の申告のやり方について、税理士の視点から1600文字程度で詳しく解説した記事をご提供いたします。
法人税の申告のやり方|基本から実務まで丁寧に解説
法人を設立すると、毎年必ず行わなければならないのが「法人税の確定申告」です。法人税の申告は、個人の確定申告とは異なり、複数の申告書や附属明細書を整え、一定のルールに基づいて処理する必要があります。本記事では、法人税の申告の基本的な考え方から、実際の申告手順、注意点まで、実務に即して詳しく解説いたします。
1.法人税とは?
法人税とは、会社が得た利益(所得)に対して課される国税です。会社の会計上の利益をベースにして、税法上の加算・減算(いわゆる「税務調整」)を行い、課税所得を算出したうえで税額を計算します。これに加えて、地方税(法人住民税・法人事業税)も併せて申告・納付します。
2.申告のタイミングと期限
法人税の申告期限は、「決算日から2か月以内」です。たとえば、3月31日決算の会社であれば、5月31日が申告・納付の期限となります。期限までに申告しないと、延滞税や加算税といったペナルティが課されるため、計画的な準備が必要です。
なお、税務署へ申請すれば「1か月の申告期限延長」が認められる場合があります(「申告期限の延長の特例」)。
3.申告書類の流れと構成
法人税の申告は、以下の書類群で構成されます。
① 決算書(財務諸表)
損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書などを作成します。ここでは会計上の利益が確定します。
② 法人税申告書(別表)
税務上の課税所得を計算する書類で、最も重要な書類です。主な別表は以下のとおりです。
書類名 | 内容 |
---|---|
別表一 | 税額計算書(最終的な法人税額を記載) |
別表四 | 所得の加算・減算調整を行い、課税所得を計算 |
別表五(一) | 利益積立金額・資本金等の計算 |
別表五(二) | 税額の発生と納付履歴(納税充当金)を記載 |
別表六、七など | 特別控除、租税条約、税額控除などの明細 |
③ 勘定科目内訳書
取引の内容ごとに、勘定科目の明細を記載します。例えば、売掛金の取引先や金額など。
④ 法人事業概況説明書
会社の業種、従業員数、売上高などを記載。税務署が会社の実態を把握するための書類です。
4.申告の方法|紙 vs 電子申告(e-Tax)
法人税申告は、次の方法で提出できます。
- 紙申告:税務署に直接持参または郵送
- 電子申告(e-Tax):近年は電子申告が主流で、添付書類の一部省略や電子控除制度の利用も可能です。e-Taxは、会計ソフトと連携させて効率的に申告書を作成・提出できるため、実務では非常に有効です。
地方税(住民税・事業税)についても、eLTAX(地方税ポータル)で電子申告が可能です。
5.納付の方法
法人税の納付は、次の方法があります。
- 銀行・税務署窓口での納付
- ダイレクト納付(インターネットバンキング)
- コンビニ納付(QRコード方式)
- クレジットカード納付(手数料あり)
電子申告と組み合わせて、電子納税(e-Tax連動)を利用すれば、業務効率も向上します。
6.中間申告・予定納税の義務
前事業年度の法人税額が10万円を超えると、中間申告(原則半年後)が必要になります。さらに、予定納税という前払い的な仕組みもあります。資金繰りの観点からも、前期の納税額はしっかり把握しておくことが大切です。
7.申告でよくあるミスと注意点
よくあるミス | 内容 |
---|---|
税務調整の漏れ | 交際費、寄附金、減価償却など、税務上の調整を忘れがち |
申告書の不備 | 添付書類の不足や記載ミスが原因で税務署から問合せが来ることも |
納付遅延 | 期限後納付は延滞税の対象。資金計画も大切 |
8.まとめ
法人税の申告は、単なる利益の計算にとどまらず、会計・税務・法務の知識を総合的に求められる作業です。会計ソフトの活用や電子申告の導入で効率化は可能ですが、内容の正確性を欠くとペナルティのリスクが伴います。中小企業や経理担当者にとっては専門的な判断も多いため、税理士との連携を視野に入れて、適正な申告を心がけることが重要です。
必要に応じて、申告手順を図解やチェックリストでまとめた資料を作成することも可能です。ご希望があればお申し付けください。