所得金額調整控除は、特定の所得者に対し、給与所得の計算上、一定額の控除を適用する制度です。特に給与所得控除の縮小による影響を軽減する目的で導入されました。
本記事では、所得金額調整控除の概要、適用要件、計算方法、および具体的な計算例を交えて詳しく解説します。
1. 所得金額調整控除の概要
■ 制度の背景
2018年の税制改正により、2020年以降の給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。これに伴い、
- 子育て世帯
- 身体障害者等の特定の所得者 に対する負担を軽減するため、所得金額調整控除が導入されました。
■ 対象者
所得金額調整控除の対象者は、以下のいずれかに該当する給与所得者です。
- 給与収入が850万円を超える方
- 特別障害者である方
- 扶養親族が特別障害者に該当する方
- 23歳未満の扶養親族がいる方
2. 控除額の計算方法
所得金額調整控除の計算方法は、以下の通りです。
■ 控除額の計算式
対象者が給与収入850万円を超える場合、
所得金額調整控除額=(給与収入−850万円)×10所得金額調整控除額 = (給与収入 – 850万円) × 10%
※上限額は15万円です。
また、給与収入850万円以下であっても、特別障害者に該当する場合には控除が適用されることがあります。
■ 計算例
ケース1:給与収入900万円、23歳未満の扶養親族がいる場合
所得金額調整控除額=(900万円−850万円)×10所得金額調整控除額 = (900万円 – 850万円) × 10% = 50万円 × 10% = 5万円
ケース2:給与収入1,100万円、特別障害者の扶養親族がいる場合
所得金額調整控除額=(1,100万円−850万円)×10所得金額調整控除額 = (1,100万円 – 850万円) × 10% = 250万円 × 10% = 25万円
しかし、上限が15万円のため、控除額は 15万円 となります。
3. 所得金額調整控除の適用方法
所得金額調整控除を適用するためには、年末調整または確定申告で適用を申請する必要があります。
- 年末調整:
- 勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「所得金額調整控除申告書」を提出
- 確定申告:
- 「確定申告書」に控除額を記載し、申告を行う
4. 所得金額調整控除の注意点
- 給与収入が850万円以下であれば、一般的には適用されません(特別障害者に該当する場合を除く)。
- 控除額の上限は15万円まで。
- 配偶者控除や扶養控除と併用することが可能。
5. まとめ
所得金額調整控除は、給与所得者の負担を軽減する重要な制度です。特に子育て世帯や特別障害者の扶養者に該当する方は、適用の有無を確認し、年末調整や確定申告を活用しましょう。
【参考:所得金額調整控除の計算イメージ】
給与収入(万円) | 控除額(万円) |
---|---|
850以下 | 0 |
900 | 5 |
1,000 | 15 |
1,200 | 15 |
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